ご挨拶-GREETINGS-

 脳腫瘍は頭蓋内に発生し進行性に脳の機能を侵す脳難病です。その発生頻度に年間10万人に10人、また癌が脳に転移した転移性脳腫瘍もほぼ同数観察され、治療対象になっています。こうした脳腫瘍の病態を知る方法として病理学、生理学、画像診断が開発されていますが、古くよりその中心は脳腫瘍病理学であります。顕微鏡が開発されると欧米において脳腫瘍の組織的研究が盛んに行われ、1923年には米国のBailyとCusingが中心となり脳の組織発生に基づいた脳腫瘍分類が確立されました。そしてこの研究が基礎となりWHOを中心とした国際的な比較研究による分類、さらに臨床悪性度や分子生物学的解析も含めた国際分類へと発展してきた。

 我が国においても神経病理学会において同様の研究が行われていましたが、その中から1983年脳腫瘍病理学会が発展的に分離独立し、現在の日本脳腫瘍病理学会(Japan Society of Brain Tumor Pathology)へと移行しています。本学会は脳神経外科医と神経病理医が中心となり神経内科医、放射線科医、精神科医、そして基礎研究者も参加しています。脳腫瘍の病理病態を光学顕微鏡、電子顕微鏡を用いた形態学的研究、マーカー分子を分析する組織化学研究、CT、MRI、PET、MEG等を用いた構造と機能画解研究がなされ、脳腫瘍の正確な診断法と最適な治療法を確立することを目指しています。また最近では脳腫瘍の遺伝子ゲノム解析に基づいたDNA診断法やPETを用いたマーカー分子の画像化に基づいた分子イメージングの開発も進められています。こうした最先端の研究成果を英文機関紙「Brain Tumor Pathology」に掲載していきます。

世話人代表:吉田 純(名古屋大学大学院医学系研究科脳神経外科教授)

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